防災グッズの通販ページを開くと、30点・50点入りのセットがずらりと並びます。ところが、実際に被災した人の声を集めると「使わなかったもの」がかなりの割合で含まれている一方、「水とトイレが足りなかった」という声が毎回のように上がります。
2025年1月に株式会社CMサイトが全国の男女10,265人に行ったアンケートでは、「本当に必要な防災グッズ」の1位は飲料水(2,009票)、2位が食料品(1,013票)、3位が非常用簡易トイレ(999票)でした。3位のトイレが2位の食料とわずか14票差という点に、経験者の実感が表れています。
この記事でわかること:
- アンケートと備蓄の目安から整理した「本当に必要なもの」TOP10
- 家族の人数別に何リットル・何回分を用意すればよいかの早見表
- 経験者が「いらなかった」と感じた防災グッズと、その理由
- 100均で揃うもの・女性や子どものいる家庭で追加したいもの
- 予算1万円以下・1〜3万円・3万円以上で何から揃えるべきか
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防災グッズで本当に必要なものランキングTOP10
次の比較表では、上位5位にCMサイトの10,265人調査の順位をそのまま採用し、6位以降は避難所生活の経験談で「なくて困った」と挙がりやすいものを、生命維持への影響度で並べました。
| 順位 | アイテム | 根拠・目安 | 価格の目安 |
|---|---|---|---|
| 1 | 飲料水(長期保存水) | 2,009票。1人1日3Lが目安 | 2L×6本で約1,500〜2,500円 |
| 2 | 非常食(アルファ米・缶詰) | 1,013票。最低3日分、推奨1週間分 | 1食約300〜500円 |
| 3 | 非常用簡易トイレ | 999票。1人1日5回が目安 | 50回分で約3,000〜6,000円 |
| 4 | 現金(小銭を含む) | 528票。停電でATM・電子決済が止まる | – |
| 5 | 衛生用品 | 385票。歯磨きシート・ウェットティッシュ・生理用品 | 1式約1,000〜2,000円 |
| 6 | モバイルバッテリー | 情報収集と安否確認の生命線 | 約2,000〜6,000円 |
| 7 | LEDヘッドライト | 両手が空く。停電時の移動・調理に必須 | 約1,000〜3,000円 |
| 8 | 手回し・乾電池式ラジオ | 停電・通信障害時の情報源 | 約2,000〜5,000円 |
| 9 | カセットコンロとガスボンベ | 温かい食事でストレスを軽減 | 本体約3,000〜6,000円 |
| 10 | 寝袋・アルミブランケット | 避難所の床は想像以上に冷える | 約500〜8,000円 |
1位: 長期保存水(5年保存タイプ)
飲み水だけでなく、調理や歯磨きにも使うため、1人1日3Lが目安とされています。ペットボトルの通常の水は賞味期限が約2年ですが、5年保存水なら入れ替えの手間を減らせます。2Lボトルは持ち出しに重いため、500mlボトルを24本ほど混ぜておくと避難時に分けて運べて便利です。
2位: アルファ米(5年保存の非常食)
お湯または水を注ぐだけで食べられるアルファ米は保存期間5年前後の商品が多く、主食の備蓄に向いています。缶詰はプルトップ式を選べば缶切りが不要。普段から食べ慣れた味を少し多めに買い置きする「ローリングストック」と組み合わせると、期限切れの廃棄も防げます。
3位: 非常用簡易トイレ(凝固剤タイプ)
断水するとマンションでも戸建てでもトイレが流せなくなります。人は1日に平均5回ほどトイレに行くと言われ、4人家族で7日分なら140回分が必要な計算。食料より先に足りなくなりやすいアイテムで、上位にランクインしたのも納得の結果でしょう。凝固剤タイプの簡易トイレは既存の便器にかぶせて使えるため、慣れない環境でも使いやすいのが利点です。
4位: 現金(10円玉・100円玉を多めに)
停電するとATMも電子決済も使えなくなる可能性があります。1万円札では自動販売機や小さな商店で困ることがあるため、千円札と小銭で合計2〜3万円を分けて保管しておくと安心です。
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5位: 歯磨きシート・体拭きシート
断水中は歯磨きや入浴ができず、口内環境の悪化が体調不良につながることも。歯磨きシートや体拭きシート、マスク、ビニール手袋は軽くてかさばらないため、持ち出し袋にも入れやすいでしょう。
6〜10位: 電源・明かり・情報・熱源・寝具
大容量モバイルバッテリー(10,000〜20,000mAh)はスマホを2〜4回充電でき、安否確認と情報収集の支えに。明かりは懐中電灯よりLEDヘッドライトが便利で、両手を使いながら移動や調理ができます。手回しラジオはスマホ充電機能付きのモデルもあり、通信障害時の備えとして心強い存在でしょう。カセットコンロはボンベ1本で約60分使えるため、1週間分なら6〜9本が目安。避難所の床の冷えにはアルミブランケットや寝袋が役立ちます。ヘッドライトとモバイルバッテリーはUSB充電式でそろえると、1本のケーブルで併用できて荷物が減らせます。
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家族の人数別・備蓄量の早見表

「何をどれだけ」が分からないまま買うと、ある物は多すぎ、ある物は足りないという偏りが起きがちです。政府広報などで推奨されている「最低3日分、できれば1週間分」を基準に、主要アイテムの必要量を計算しました。
| 家族構成 | 水(3日分) | 水(7日分) | 簡易トイレ(7日分) | 主食(7日分) |
|---|---|---|---|---|
| 1人暮らし | 9L | 21L | 35回分 | 21食 |
| 2人 | 18L | 42L | 70回分 | 42食 |
| 3人 | 27L | 63L | 105回分 | 63食 |
| 4人 | 36L | 84L | 140回分 | 84食 |
4人家族で7日分の水は84L、2Lペットボトルで42本です。1か所に置くと場所を取るため、クローゼット・ベッド下・玄関収納に分散させるのが現実的。分散保管には、家の一部が損傷しても全滅しにくいという利点も見逃せません。
経験者が「いらなかった」と感じた防災グッズと失敗談
防災セットに入っていても、実際には使わなかった・役に立たなかったという声が出やすいものもあります。買う前に知っておけば、限られた予算と収納スペースを無駄にせずに済むでしょう。
失敗談1: 食べ慣れない乾パン
保存性は高いものの、口の中の水分を奪うため、水が貴重な状況では食べにくいという声が多く聞かれます。主食はアルファ米やレトルトご飯、クラッカーなど、家族が普段食べられるものを選ぶほうが無難です。
失敗談2: ろうそく
余震で倒れると火災の原因になります。照明はLEDランタンやヘッドライトで代替するのが安全でしょう。
失敗談3: 重すぎる非常持ち出し袋
あれもこれもと詰め込んで15kgを超えると、実際には背負って歩けません。持ち出し袋は男性15kg・女性10kg以下が目安と言われています。水や食料の大半は「自宅避難用の備蓄」に回し、持ち出し袋は1日分に絞るのがコツです。
注意点: 中古・型落ちの電池製品
フリマアプリで安く手に入る中古のモバイルバッテリーやポータブル電源は、内部のバッテリーの劣化具合が外見から判断できません。寿命の目安はおおむね充電500回前後とされるため、防災用は新品、あるいは型落ち新品を選んだほうが安心です。メーカー保証が1〜2年付くかどうかも確認しておきましょう。
100均で揃う防災グッズ・揃えないほうがいいもの
防災グッズをすべて専門品で揃えると数万円かかります。100均(110円〜)で十分なものと、専門品を選ぶべきものを分けると予算を大きく抑えられます。
| 区分 | アイテム例 | 理由 |
|---|---|---|
| 100均でOK | アルミブランケット・ホイッスル・軍手・圧縮タオル・ウェットティッシュ・ポリ袋・養生テープ | 消耗品で品質差が出にくい |
| 100均でも可 | 小型LEDライト・携帯用簡易トイレ(少量) | 予備として数を確保する用途向き |
| 専門品がおすすめ | 長期保存水・非常食・モバイルバッテリー・ラジオ・ヘッドライト | 保存期間・安全性・耐久性に差が出る |
特に電池を使う製品は、液漏れや発火のリスクを考えると、PSEマーク付きの信頼できるメーカー品を選ぶべきです。100均で揃えた小物は、ジッパー付き袋にまとめて玄関や車に分散しておくと使い勝手が上がります。
女性・子ども・高齢者のいる家庭で追加したいもの

ランキング上位の品はどの家庭にも共通ですが、家族構成や避難シーンによって「なくて困るもの」は変わります。
女性向け
- 生理用品(最低1周期分)・おりものシート・使い捨てショーツ
- 防犯ブザー:避難所での夜間のトイレ移動に
- ヘアゴム・小さな鏡・ボディシート・大判ストール(着替えの目隠しに)
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1,000円 (税込)
乳幼児のいる家庭
- 液体ミルク(お湯や哺乳瓶の消毒が不要)・使い捨て哺乳瓶
- おむつ(1日8枚×7日=約56枚が目安)・おしりふき
- 抱っこ紐・お気に入りの小さなおもちゃ
高齢者のいる家庭
- 常備薬(1週間分)とお薬手帳のコピー
- 予備の眼鏡・入れ歯ケースと洗浄剤
- 介護用食品(やわらか食)・紙パンツ
結局何から買えばいいか:予算別の揃え方と点検のコツ

一度にすべてを揃える必要はありません。命に直結するものから順に、予算に合わせて段階的に買い足すのが現実的です。
| 予算 | 優先して揃えるもの(1〜2人分の例) |
|---|---|
| 1万円以下 | 長期保存水(3日分)・アルファ米(3日分)・簡易トイレ30回分・100均小物一式 |
| 1〜3万円 | 上記を7日分に増量・モバイルバッテリー・LEDヘッドライト・手回しラジオ・カセットコンロ |
| 3万円以上 | 上記+ポータブル電源(停電中も冷蔵庫・スマホ・照明を使える)・寝袋・非常用持ち出しリュック |
この一覧表のデメリットを挙げるなら、家族の人数によって必要量が大きく変わる点です。市販の防災セットを買う場合も、中身をすべて広げて「水・トイレ・明かり」が家族の人数分あるかを確認し、足りない分を単品で補いましょう。
使い始めのチェックと年2回の点検
買ったら一度は実際に使ってみることが大切です。アルファ米を試食しておく、簡易トイレの組み立て方を確認する、ラジオの手回し充電を試す。実際に使ってみると「思ったより時間がかかる」「子どもが食べない」といった発見があります。点検は防災の日(9月1日)と3月の年2回を目安に、賞味期限・電池残量・子どもの成長に合わせた衣類サイズを見直してください。
防災グッズに関するよくある質問
Q. 防災グッズで一番必要なものは何ですか?
A. 10,265人を対象にした調査では飲料水が2,009票で1位でした。次いで食料品、簡易トイレの順です。特にトイレは見落とされやすいため、水・食料と同時に揃えることをおすすめします。
Q. 水は1人何リットル備蓄すればいいですか?
A. 1人1日3Lが目安とされています。最低3日分で9L、できれば1週間分の21Lを用意すると安心です。
Q. 防災グッズは100均だけで揃えられますか?
A. アルミブランケットやホイッスル、軍手などの消耗品は100均で十分ですが、水・非常食・モバイルバッテリー・ラジオなどは保存期間や安全性の面で専門品を選ぶほうが安心です。
Q. 防災リュックの重さはどれくらいが目安ですか?
A. 男性で15kg、女性で10kg以下が目安と言われています。持ち出し袋は1日分に絞り、残りは自宅備蓄に回しましょう。
Q. 防災グッズの点検はいつすればいいですか?
A. 9月1日の防災の日と3月の年2回が目安です。賞味期限や電池の残量、家族構成の変化に合わせて中身を入れ替えてください。
Q. 防災セットと単品で揃えるのはどちらがいいですか?
A. 防災セットは手軽ですが、水やトイレの量が家族の人数に足りないことがあります。セットを土台にして、不足分を単品で補う方法が効率的です。
今日から始める防災グッズの備え方
防災グッズ選びで大切なのは、点数の多さではなく「水・食料・トイレ」を家族の人数分、最低3日、できれば1週間分確保することです。そのうえで明かり・電源・情報源を足し、女性や子ども、高齢者に必要なものを加えていけば、いざというときに困る場面を大きく減らせます。
まずは今夜、自宅にある水と食料が何日分あるかを数えてみてください。早見表と比べて足りない分が分かれば、次に買うべきものがはっきりします。

